街の科学者、薬剤師

第9回 街の科学者、薬剤師

石巻薬剤師会 理事 丹野 佳郎/2017年2月17日(金)公開

「理科嫌い子供の増加」「大学生の理系離れ」といった話題が、マスコミをにぎあわせ始めてひさしくなります。理科系に進んだものにとって大変さびしいかぎりです。

私が理科系に進む切っ掛けの一つは、小学生のころNHKで放送されていた「四つの目」という番組でした。NHKの特殊撮影技術を駆使して、科学の現象をわかり易く解説していました。
牛乳を一滴落としミルクウラウンができるのを高速度撮影した映像や、種が発芽し成長する様子を微速度撮影し一週間をたった一分間で映し出す映像などに驚き、感動したことをいまだに忘れられません。その後、小学校の高学年で理科クラブ入部し、理科の先生が実験をさせてくれました。細かく切った紙をぬらして、ガラス瓶の二ヶ所に巻きつけ、その間を何ヶ所かヤスリで傷をつけ、アルコールランプの炎を近づけると、「ピチッ」という音とともに真っ二つに割れたガラス瓶に驚き、冬の寒い夜の校庭で、天体望遠鏡で月のクレーターがくっきり見え、もうすぐアポロで人間がそこにいくんだなーと興奮したものでした。

ある日、先生が乗らなくなったバイクを学校に持ち込み、「みんなで分解していいぞー」と言われ、ドライバーやスパナでバラバラにして発電機の磁石を取り出して遊んだりもしました。手の掛かるワラシコたちを一生懸命指導し、科学に興味を抱かせてくれた先生には頭が下がります。薬科大学を卒業して勤めはじめた頃、薬剤師会の先輩から「昔はね、薬剤師は街の科学者といわれ尊敬されていたんだよ。地域の皆さん科学で貢献しなくてはいけない」と教えられました。

前置きが長くなりましたが、去年、石巻薬剤師会では「市民健康まつり」に参加し、例年行っていた薬事相談に加え「おもしろ科学実験室」を開催し、子供たちに科学実験の楽しさを体験するコーナーを企画しました。スライムや身近な材料で作った電池、ゼリーから取り出した色素で毛糸を染めてみたりと子供たちだけでなく、手伝った薬剤師も一緒になって、楽しい時間を過ごしました。昨年のご好評にこたえて、今年も石巻薬剤師会では、「市民健康まつり」に参加し、「おもしろ科学実験室」を開催します。大人の方も子供と一緒に科学実験で遊びませんか。ご家族でのご来場をお待ちしております。市民健康まつりは平成13年9月30日(日)午前10時から午後3時までペアーレで開催します。