私が体験した薬の副作用

第18回 私が体験した薬の副作用

石巻薬剤師会  鈴木 宏彰/2017年2月17日(金)公開

薬の副作用については、何度かこのコラムでも取り上げられたことがありましたが、今回は私が身を持って体験したことをお話させてください。

5年位前の話です。

風邪がなかなかよくならず、病院にかかればよかったのですが、忙しかったこともあり、その頃よく風邪の患者さんに処方されていた薬(抗生剤、消炎酵素剤、胃薬)を勤務している調剤薬局で分けていただき1回分服用しました。

30~40分程経ってから、くしゃみが頻発するようになりました。同僚から「誰かがうわさしてんじゃないの」と言われたかどうかは定かではないですが、ちょうど患者さんが込み合ってきて忙しさから、これが薬の副作用だとはまったく気が付かず、調剤に投薬に走り回ってました。患者さんにお薬の説明をしている際中もくしゃみ鼻水はとまらず、ちょっとおかしいかなと思い始めた矢先、患者さんが不思議そうな顔をして私を見ていることに気が付きました。と同時に右目の視界がみるみるうちに狭まってきたのです。薬の説明をなんとか終え、振り返るとみんなが驚いた顔で私を見て言いました。
「鈴木君、大変なことになっているよ!」あわてて更衣室に入り鏡を覗き込むと、そこには顔面をめったうちにされてK.Oされたボクサーのような顔をした自分が映ってました。
急いで近くのクリニックに駆け込んで診てもらうことに。その時の受付のお姉さんの驚き半分、笑い半分の顔は今になっても忘れることが出来ません。

医師にはほぼ抗生剤による薬物アレルギーであろうと言われ、ステロイドの点滴をうけることになりました。一時は両目が開かないほど目が腫れ上がっていたのですが、速やかに視界が開けていきました。それでも、腫れは残り2~3日恥ずかしい思いをしたのを覚えています。

薬物アレルギーは、ほとんどの場合、同じ薬物か構造の似た薬物を以前服用して(感作されて)それに対する抗体がつくられ、2度目の服用で入ってきた薬物と抗原抗体反応おこしアレルギー症状がおこるとされてます。ゆえに、一度服用して大丈夫でも2度目で症状が起こりますからその時点で防ぐのがなかなか難しいと思われます。

私の場合、原因となったと思われる薬剤はそれまで服用したことがなかったのですが、その薬剤を粉砕調剤したことは何度かあり、微量ではありますが、体内に入った可能性は考えられます。

Drには次服用した場合、もっと強いアレルギー症状(アナフィラキシーショック)を起こして呼吸困難をおこす可能性もあるよと言われました。

薬物アレルギーをおこしたことのある方は、そのとき使用した薬剤の名前をすべて記録して、医療機関にかかるときや一般医薬品を購入するときにはそれを必ず医師や薬剤師に伝えるようにお願いします。